運送業について
運送業は貨物自動車運送事業法により、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業、貨物軽自動車運送事業」に大別されます。
【定義】
「一般貨物自動車運送事業」
他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のもの
➡他人から依頼を受けてトラックで貨物を運ぶ事業
「特定貨物自動車運送事業」
特定の者の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業
➡特定の一者のみを扱う事業
「貨物軽自動車運送事業」
他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る)を使用して貨物を運送する事業
➡軽自動車、二輪を使用する事業
同じ運賃が発生するものでも人を運ぶ場合は、旅客自動車運送事業として別の法律で規制されます。
(霊柩車は貨物運送事業になる)
運送業の許可要件
一般貨物自動車運送事業の許可の要件は、大きな観点から見ると、
「資金」「場所」「人」「車両」「法令試験」の五つの要件が必要です。
一般貨物運送事業と特定貨物運送事業の許可要件はほぼ一緒です。
ただし、特定貨物運送事業は、運送約款を定めて許可を受ける必要がない、営業所に運賃および料金を掲示する必要がない、事業報告書を提出する必要がない、運送事業者の合併、会社分割、事業譲渡もしくは個人経営の運送事業者が死亡した場合、事後(30日以内)の届出となる、等の手続の緩和があります。
とはいえ、特定貨物運送事業の許可事業者が、別なお客様と契約する場合は、一般貨物自動車運送事業の許可が必要になるため、ほとんどの事業者の方は、一般貨物自動車運送事業の許可申請を取得する方向です。
貨物軽自動車運送事業については、これは「届出」でだけでOKです。また、一般貨物自動車運送事業が大型トラック5台が必要に対し、軽自動車1台から始められます。
各要件について
①場所的要件➡最も重要で、かつ、最も注意を要する
必要な施設(営業所、休憩・睡眠施設、車庫、場合によっては保管施設)を定めたものです。
都市計画法、建築基準法、農地法、消防法、道路交通法等に定食していないことが条件です。
この条件をクリアするには、細かい注意点が沢山あります。
②資金
事業を開始し経営していくためには、まず、事業計画が必要になります。
そして、その事業計画を実現するための資金(準備資金、運転資金)が必要です。
事業計画はその資金と合ったものでなければなりません。あくまでも事業計画によるのですが、運送業を開始して当面の間(6ヶ月間~1年間)、売上がなくても事業を続けられるお金となると、概して、2~3,000万円は必要になると考えておいた方が良いと思います。
実際には綿密な試算が必要ですが、許可の申請には、一般貨物自動車運送事業営業許可申請書の「事業の開始に要する資金及び調達方法」の様式に記載されている項目で算出し、その資金を証明するために、残高証明書が必要になります。
③人的要件
運送業を開始するに当たり、必要となる人員や資格の要件です。
運行管理者(含む補助者)、整備管理者(含む補助者)、などの資格保持者がいるか或いは入社する予定であるかなどが問われます。
また、事業に使用する自動車の台数と合った運転手の確保が出来ているかも要件となます。
・申請者が欠格事由に該当していない。
・運転者を5人以上確保又は確保予定である。
・事業用自動車の台数に合わせた運行管理者を確保又は確保予定である。
・整備管理者を確保又は確保予定である。
など
④車両の要件
最低五台の車両が必要です。その車両は、申請者が使用権限を有するもの(含む予定)でなければなりません。
⑤法令試験
運輸支局に申請書を提出し受理された後、直後の奇数月に役員の「法令試験」があります。
申請会社の役員がその試験に合格しなければ、申請書は取り下げになります(却下処分となる前に取り下げる必要があります)。
事業計画について
まず第一に、許可は、事業者が提出した事業計画書に基づきなされるので、その計画が必要です。法的根拠は下記のとおりです。
貨物自動車運送事業法から抜粋
(一般貨物自動車運送事業の許可)
第三条 一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
(許可の申請)
第四条 前条の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 営業所の名称及び位置、事業の用に供する自動車(以下「事業用自動車」という。)の概要、特別積合せ貨物運送をするかどうかの別、貨物自動車利用運送を行うかどうかの別その他国土交通省令で定める事項に関する事業計画
2 前条の許可の申請をする者は、次の各号のいずれかに該当する場合にあっては、前項第二号に掲げる事項のほか、事業計画にそれぞれ当該各号に掲げる事項を併せて記載しなければならない。
一 特別積合せ貨物運送をしようとする場合 特別積合せ貨物運送に係る事業場の位置、当該事業場の積卸施設の概要、事業用自動車の運行系統及び運行回数その他国土交通省令で定める事項
二 貨物自動車利用運送を行おうとする場合 業務の範囲その他国土交通省令で定める事項
3 第一項の申請書には、事業用自動車の運行管理の体制その他の国土交通省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。
貨物自動車運送事業法施行規則から抜粋
(事業計画)
第二条 法第四条第一項第二号の事業計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 主たる事務所の名称及び位置
二 営業所の名称及び位置
三 各営業所に配置する事業用自動車の種別(霊きゅう自動車又は霊きゅう自動車以外の自動車(以下「普通自動車」という。)の別をいう。以下この号、第三条の五第一号及び第六条第一項において同じ。)及び事業用自動車の種別ごとの数
四 自動車車庫の位置及び収容能力
五 事業用自動車の運転者及び運転の補助に従事する従業員(以下「乗務員」という。)の休憩又は睡眠のための施設の位置及び収容能力
六 特別積合せ貨物運送をするかどうかの別
七 貨物自動車利用運送を行うかどうかの別